道具としてのメシャムパイプ
メシャム、海泡石、Meerschaum。
パイプは大きく分けて3つの材質から出来ている。
木、陶器、石。
木、特にブライヤと呼ばれるツツジ科ホワイトヒースの根を乾燥させた原木。品質は様々であるが、最もパイプにするのに適していると言われる。
メシャム即ち海泡石は、パイプとして使われ始めた歴史がブライヤよりも少し早く、やはりその吸湿性や吸臭性からパイプの材料として適しているとされる。
だが、これに嵌って私のように主に使う常喫の道具にしている人は、どうやら少ないようだ。
メシャムが今ひとつ人気の無い理由として考えられるのは、やはり傷つき易いからだろう。思うように綺麗な褐色にもならないし、表面に細かい傷が沢山出来るし、長く愛着を持って使うには、ある程度のラフな気軽さが必要なのだ。
ここに一本のメシャムパイプがある。
結構長く使っているパイプで、最近でもたまに使う事はあるが、他のメシャムパイプと比べると恐ろしく乱暴に扱っていて、特に愛着も執着も無い。
ピーターソンの焼きメシャムで、買った時からケースも無い。
シェイプとしてはシステムスタンダードに近い。Pリップでラスティック仕上げ。まるでブライヤのように、それも大事にしていない方のブライヤパイプのように扱っている。
最初からリムトップだけは黒かったが、購入当初はもっとずっと白かった。最早、喫煙で着色したのか、はたまた手垢で汚れているのか判らないほど、現在は汚い。
私はこいつの事をLVC(リー・バン・クリーフ)と呼んでいた。マカロニ・ウェスタンの名優が、映画の中で銜えていたという記憶があったからだ。
しかしよく調べてみると、リー・バン・クリーフは焼きメシャムを銜えてはいたがピーターソンではなかった。また、ピーターソンを銜えている事もあったが、焼きメシャムではなかったのだ。
まあ、そんな事はどうでも良いのだが、純粋に道具としての利便性だけを追求しても、メシャムはブライヤに負けないほど、使いやすいのだ。
今回はそれだけが言いたかった為に、書いてしまいました。
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